先の法廷で東京都は、渋谷区長の許可した開発計画の尻拭いをさせられることに不満顔を露わにしながら以下の要点の準備書面を提出した。
ラ・トゥール代官山は「エキスパンジョイントでつながった10個の別の構造体であると説明することが可能である上、・・・(中略)・・建築確認時における取扱いのとおり、『1棟の建築物』に該当しないものと判断するのが相当であるといえる。」と記述し、続く次の項目でも「(前略)1棟の建造物であることを前提にはしておらず、10棟の建築物に適用することも可能である」。とあるが、この反論には「可能である」を2回も使用しているが、「可能である」とは断定できない推論の意味であり、その自信のなさの表現である。
「一の建築物」とは建築基準法を基準とした学問的知識を前提にした用語の定義であり、過去の判例、建築物の構造上、機能上、外観上、一体の建築物を指すものでそれに疑義をはさむ余地はない。そしてエキスパンジョイントは構造耐力上の分離を問題にするもので、建築物としては一体であることを意味し、東京都が問題とする別の建築物とする根拠にはあたらないし、現実の建物が法律の許容範囲を逸脱した開発行為を、適法であるように欺罔した建築申請書が、法律上正しいものであるという答弁は本訴訟の趣旨とは全く異なる。
ところで、先日文京区のマンションについて建築確認取消しを受けた確認団体は、ラ・トゥール代官山の確認検査を行なった都市居住評価センターである。
『違法建築物除去命令義務付け請求事件』
・開廷日:平成27年12月9日(水)13:30
・法 廷:東京地方裁判所8階803号
*交通 地下鉄・霞ヶ関駅下車
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